被災地女性団体がマッサージサロンをオープン 支援から事業へ

12月15日、仙台市若林区六丁の目南町に、被災地で支援活動をする一般社団法人「ドルフィンドリーム」(代表・天野剛さん)が「ココロとカラダ元気サロンCOCOKARA SALON」をオープンした。

 
(中央:講師の天野龍さん、メンバーのみなさん)

 私は以前から同団体のボランティア募集などのお手伝いをさせていただいており、オープン初日、早速訪ねてきた(もちろん心地よいマッサージも堪能!)。

 同団体は震災後、被災した女性を中心に活動メンバーが集まり、仮設住宅に住む高齢者らを対象としたオイルマッサージによるケアをのべ99回実施。これまで約4千人の方々に、健康で元気な生活が送れるようにと、マッサージによる癒やしを提供してきた。

 設立当初から、団体の活動目標の一つは活動メンバーである女性の「就労支援」だった。単なるボランティア活動ではなく、活動しながらオイルマッサージの技術を身につけ、被災地で子育てにも奔走するママたちの就労につなげようと奮闘してきた結果が、今回の念願のサロンオープンとして結実した。

 
 サロンで活動するメンバーは6人。石巻市宮城県七ヶ浜町多賀城市などの仮設住宅から通勤するメンバーもいる。ボランティア活動で施術の腕を磨き、団体独自の資格試験に挑むことで、目標をもって活動が続けてこられたという。

 講師の天野龍さんは、この道20年のベテラン。「自分が得意なこと好きなことで、被災地のために何か活動したい」という思いから「人々の触れ合いを増やし、被災地を癒やしでいっぱいにする」というテーマで活動を始めた。

 震災から1年9カ月あまり。いま何よりうれしいことは、「メンバーの成長を感じた時」と天野さんは話す。

 「この活動に関わるようになって、『生き方が変わった』と話すメンバーもいます。子育てや家族のためだけにあった日常に、『自分のための目標』が加わったことが、生きがいにつながっているようです。自分の人生を生きるママたちが増えていくことが何よりうれしいです」

 サロンオープンまで苦労したのは、何と言っても資金集め。復興関係のイベントに出店し集めた自主財源も微々たるもの。ようやく企業からの助成が決まった時は、既に計画してから1年たっていた。

 店の内装に使った木材は全て無垢(むく)材。施術に使用するオイルも天然オイルというこだわりで、「出来るだけ自然のものを使うことで、五感に働きかける空間作りを目指した」という。

 
(個室が6室、アロマが香りヒーリング音楽が流れる落ち着いた空間)

 「マッサージによるヘルスケアで人々の免疫を向上させること、そして生活再建に向けて手に職をつけること。2つのテーマには、家族の健康や生活を守りたいという母の思いが込められています」と、天野さんは言う。

 母は強し。これまで様々な団体との出会いを振り返って、あらためてそう思う。震災前から身につけていたことを生かして、何とか事業を始めようという事例もあれば、全く門外漢だった世界に飛び込んでいって果敢に事業創出にチャレンジする女性も多い。

 宮城県南三陸町では内閣府の起業家支援事業の助成を受けて、3人のお母さんが起業に取り組んでいる。共通するのは「家族を守る」「食べさせる」「一歩でも生活再建を前に進めたい」という母の思いだ。

 
(天野さんの手のひら、たくさんの人を癒してきたゴッドハンド、意外に小さい)

 支援から事業へ。震災からもうじき2年を迎える今、多くの団体が共通して抱える最も重要なテーマだ。観光客頼み、ボランティア頼みから脱却し、一般消費者に受け入れられてこそ継続的な事業モデルとなるが、その道は平坦ではない。

 まずは身近にいる私たちが被災地の姿を情報として発信し、草の根的な広がりを作っていけたらと願う。

 一方、現場の団体は外からの率直な感想やアドバイスを積極的に受け入れ、常に改良やサービスの向上をはかる姿勢が必要だ。自立に向け、一歩を踏み出す様々な取り組みに、今後も期待したいと思う。

杜の都チームドルフィンドリーム
COCOKARA SALON
〒981-0013
仙台市若林区六丁の目南町9-38庄子ビル1F
TEL: 022-290-6733 FAX022-287-8222
10:00〜21:00
※売上の3%は被災地高齢者支援の活動に充てられます

上記記事は以下のサイトにも掲載されました。
河北新報運営「オピのおび」
http://opi.kahoku.co.jp/archives/54313053.html

Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121221-00000301-opinoobi-l04

(ボランティアインフォ・大藤)