気仙沼 小泉地区の番人に〜ネットワーク宮城の活動〜

気仙沼の小泉地区にある「小泉自然楽校」は、小泉地区の里山や海の豊富な自然の恵みを生かしながら、震災のこと、地域のこと、自分のこと、などを学ぶ野外体験施設です。



代表は阿部寛行さん(東日本大震災復興支援市民活動ネットワーク宮城)。
仙台在住の阿部さんは震災直後から全国の組織と連携して、炊き出しや物資配布に奔走しました。
「睡魔と空腹の戦いだったよ」と当時を思い出す阿部さん。
当時飲食店を営んでいたことから、おにぎりをたくさん作っては朝晩被災地へ送り届けたそうです。

待ち合わせをした小泉小学校は地域の高台になっていて、小泉地区を一望できました。
茶色一色の平地を指さしながら、被害の状況、昔の面影を丁寧に説明して頂きました。阿部さんは地元出身ではないからこそ、主観と客観を交えながら、この小泉で3.11から起きていることを人に伝える、「伝え人」を続けているとのこと。



里山の中腹にある「小泉自然楽校」は災害ボランティア用の宿泊施設だったドーム型の施設と薪風呂があり、今は地域住民との交流事業の拠点として、阿部さんが寝泊まりしながら管理運営しています。

「小泉地区は震災後、人口流出が止まらない。ここを拠点に自然の資源を活かしながら、外部の人と地元住民が交流するプログラムを作っていきたい。まだ行方不明の方々もいらっしゃることから、何も無くなってしまったこの地区の番人として、灯と賑わいと絶やさないために活動しています」



現在準備中の復興エコツーリズム事業は、今までボランティアの手によって整備されてきた海岸や、田畑、野外炊飯場などの自然体験を通して、防災や小泉地区の被害を学ぶプログラム。
ゆくゆくは地域のNPO法人を作り、事業を引き継いで住民主体の市民活動にしていきたいとのこと。
これまで13もの市民活動を立ち上げてきた阿部さんは、志の旗振り役として、その日が来るまで活動を続けていくとのことでした。

今後の課題は、参加者集め。ボランティアとしての参加者が減ってきている中、体験学習としての魅力を高め、事業として成り立たせるためには、この地区ならではの工夫が必要です。
こういったツーリズム事業は被災地で活動してきたボランティア団体から徐々に発信されつつあります。

産業を支えるため、地域のファンを増やすため、東北という地で作るからこそ、外から人が来る仕組み。まだまだ考える余地がありそうです。

今後もネットワーク宮城からツーリズム参加者募集のお知らせを発信していきたいと思います。

(ボランティアインフォ・大藤)