民間主体に復興計画を!〜女川復興連絡協議会のとりくみ〜

民間が主導して復興計画案を立案する、「女川復興連絡協議会」戦略室の小松洋介さんにお会いしてきました。

仙台出身の30才。震災時は仕事で札幌にいらっしゃったそうですが、現在縁あって協議会のメンバーとなり、復興事業の立案、実践を行っています。

女川復興連絡協議会は、地元の産業団体や市民団体が垣根を越えて結成し民間主導の復興計画を策定、くらしの再生や経済の活性化を女川に住む人々の立場から行政に提案しています。
小松さんが所属する戦略室はわずか2人で、事業立案から資料の作成、事前調査まで全てこなしており、小松さん自身も旅館の再建など様々な案件を抱えているそう。主体者を下支えするスタッフの増員が課題だそうです。


(小松さん。青空に黄色いフラッグが鮮やかにはためいていました)

お話しを伺う中で私が素敵だなと思ったのは、女川町の未来を描くため、他の地域の好事例にヒントを求めたところ。

見つけた先はスペインのガルシア地方。女川とどんな繋がりが?!と、伺うと共通点が多くあるとのことでした。

リアス式海岸であり、陸地のミネラルが豊富に海に注がれ豊かな漁場が広がっていること、捕鯨基地やサッカーチームを有し、過去の大災害から復興を遂げていることなど。
これを機に、お互いの文化交流を通して、女川を盛り上げていこうという計画なのだそうです。
その一つがスペインタイルの制作。今回お話しを伺った「きぼうの鐘商店街」に工房を構える「セラミカ工房」(http://ameblo.jp/yukionna63/)は、震災前陶芸クラブをしていた女性たちによって運営されています。


(この日は工房がお休みでした。店外から撮影)

地元の女性たちによる手仕事作品は数多くあれど、海外の特産にアイディアを求め、地元の産業に結び付けようとしている事例は、他に見たことがありません。
地中海っぽい鮮やかな色調は、みなとまち女川のイメージにもぴったりです。

ゆくゆくは表札やお店の看板など、街のあらゆるところにタイルを設置していきたいと小松さんはおっしゃっていました。

一過性の復興商品では無く、街の産業としてのスペインタイルmade in 女川を発信してゆく試み。随時体験ワークショップも受け付けているとのことで、県外から訪れたボランティアさんや観光客向けに最適なコンテンツだと思いました。

この他、女川は100種類以上の絶滅危惧種山野草が自生しており、それらを学び楽しむ山歩きガイドの育成をするネイチャー事業や、トレーラーハウスを活かした新しい旅館の再生事業、女川カレーの販売など、女川の資源を再発見しながら独自の復興事業は多岐に渡っています。

「必要なものだけ揃う大型店にはない、町の無駄を作ろうってよく言うんです。」
合理的な経済だけの復興ではなく、アートや音楽、若者の取組みを協議会でも応援し、「住み残る」「住み戻る」「住み来たる」女川を目指しているそう。

震災前は10000人だった人口も現在は8000人強。
協議会が進める事業によって、まさに未来が創られようとしていました。

今後の事業でボランティアなどの必要性を伺うと、12月にオープン予定のトレーラーハウスを活かした旅館のオープニングイベントなどでたくさんの方々を巻き込みたいとのこと。
この旅館事業、資料を拝見しましたが、とても素敵な宿泊施設の予感がしました。

そして、女川に来ていつも思うのは、小さな町ゆえの住民同士の結束力!
人の繋がりから生まれる力が、推進力になっていると感じました。

今後も注目していきたいと思います。

(ボランティアインフォ・大藤)